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フィリピの信徒への手紙の修辞構造

各ペリコーペの集中構造(コンチェントリック)と交差配列(キアスムス)と並行法(パラレル)

[1]挨拶・フィリピの信徒のための祈り  (Phil 1:1-11)
 
  A(1:1-2)  わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように(1:2)
    B(1:3-4)    あなたがた一同のために祈る(1:4)   (πάντων ὑμῶν)
      C(1:5-6)      あなたがたが最初の日から今日まで、福音にあずかっているからです(1:5)
    B'(1:7-8)    わたしがあなたがた一同についてこのように考える(1:7)   (πάντας ὑμᾶς)
  A'(1:9-11)  イエス・キリストによって与えられる義の実をあふれるほどに受けて、神の栄光と誉れとをたたえることができるように(1:11)
 
   A:イエス・キリストの恵み B:あなた方一同 C:福音

[2]わたしにとって、生きるとはキリストを生きること  (Phil 1:12-30)
 
  A(1:12-14)  わたしの身に起こったことが、かえって福音の前進に役立った(1:12)
    B(1:15-17)    他方は、自分の利益を求めて、獄中のわたしをいっそう苦しめようという不純な動機からキリストを告げ知らせているのです(1:17)
      C(1:18-19)      キリストが告げ知らされているのですから、わたしはそれを喜んでいます(1:18)   (ξαίρω)
        D(1:20)        生きるにも死ぬにも、わたしの身によってキリストが公然とあがめられるようにと切に願い、希望しています(1:20)   (ζωῆς, θανάτου)
        D'(1:21-24)        わたしにとって、生きるとはキリストであり、死ぬことは利益なのです(1:21)   (ζῆν, ἀποθανεῖν)
      C'(1:25-26)      あなたがたの信仰を深めて喜びをもたらすように(1:25)   (ξαρὰν)
    B'(1:27-28)    どんなことがあっても、反対者たちに脅されてたじろぐことはないのだと(1:28)
  A'(1:29-30)  キリストのために苦しむことも、恵みとして与えられているのです(1:29)
 
   A:パウロの苦難 B:反対者 C:喜び D:生と死

[3]キリストを模範とせよ  (Phil 2:1-11)
 
  A(2:1-2)  同じ思いとなり、同じ愛を抱き、心を合わせ、思いを一つにして、わたしの喜びを満たしてください(2:2)
    B(2:3-4)    へりくだって、互いに相手を自分よりも優れた者と考え(2:3)
      C(2:5)      それはキリスト・イエスにもみられるものです(2:5)
    B'(2:6-8)    かえって自分を無にして、僕の身分になり、人間と同じ者になられました(2:7)
  A'(2:9-11)  すべての舌が、「イエス・キリストは主である」と公に宣べて、父である神をたたえるのです(2:11)
 
   A:思いを一つにする B:自分を無にする C:イエス・キリストの内に

[4]共に喜ぶ  (Phil 2:12-18)
 
  A(2:12-15)  わたしが共にいるときだけでなく、いない今は(2:12)
    B(2:16)    自分が走ったことが無駄でなく、労苦したことも無駄ではなかったと、キリストの日に誇ることができるでしょう(2:16)
  A'(2:17-18)  わたしと一緒に喜びなさい(2:18)
 
   A:パウロと共に B:キリストの日に誇る

[5]テモテとエパフロディトを送る  (Phil 2:19-30)
 
  A(2:19)  間もなくテモテをそちらに遣わすことを、主イエスによって希望しています(2:19)   (πέμψαι)
    B(2:20-22)    彼はわたしと共に福音に仕えました(2:22)   (ἐδούλευσεν)
      C(2:23-24)      わたし自身も間もなくそちらに行ける(2:24)
    B'(2:25-27)    わたしの窮乏のとき奉仕者となってくれました(2:25)   (λειτουργὸν)
  A'(2:28-30)  そういうわけで、大急ぎで彼を送ります(2:28)   (ἔπεμψα)
 
   A:送り出す B:奉仕者 C:パウロの訪問計画

[6]キリストを信じるとは  (Phil 3:1-16)
 
  A(3:1-3)  あの犬どもに注意しなさい。よこしまな働き手たちに気をつけなさい。切り傷にすぎない割礼を持つ者たちを警戒しなさい。(3:2)
    B(3:4-6)    律法の義については非のうちどころのない者でした(3:6)   (δικαιοσύνην)
      C(3:7-8)      わたしにとって有利であったこれらのことを、キリストのゆえに損失と見なすようになったのです(3:7)
    B'(3:9-11)    律法から生じる自分の義(3:9)   (δικαιοσύνην)
  A'(3:12-16)  目標を目指してひたすら走ることです(3:14)
 
   A:行うべきこと B:律法の義 C:キリストのゆえに損失とみなす

[7]目標を目指して  (Phil 3:17-4:1)
 
  A(3:17)  兄弟たち、皆一緒にわたしに倣う者となりなさい(3:17)   (ἀδελφοί)
    B(3:18-19)    彼らの行き着くところは滅びです(3:19)
    B'(3:20-21)    わたしたちの本国は天にあります(3:20)
  A'(4:1)  だから、わたしが愛し、慕っている兄弟たち(4:1)   (ἀδελφοί)
 
   A:兄弟 B:滅びと救い

[8]勧めの言葉  (Phil 4:2-9)
 
  A(4:2-3)  主において同じ思いを抱きなさい(4:2)   (φρονεῖν)
    B(4:4-5)    主はすぐ近くにおられます(4:5)
  A'(4:6-7)  あなたがたの心と考えとをキリスト・イエスによって守るでしょう(4:7)   (νοήματα)
    B'(4:8-9)    そうすれば、平和の神はあなたがたと共におられます(4:9)
 
   A:思い B:主は共におられる

[9]贈り物への感謝・結びの言葉  (Phil 4:10-23)
 
  A(4:10)  あなたがたがわたしへの心遣いを、ついにまた表してくれたことを、わたしは主において非常に喜びました(4:10)
    B(4:11)    物欲しさにこう言っているのではありません(4:11)   (οὐκ ὅτι)
      C(4:12-13)      貧しく暮らすすべも、豊かに暮らすすべも知っています(4:12)   (περισσεύειν)
        D(4:14)        それにしても、あなたがたは、よくわたしと苦しみを共にしてくれました(4:14)
  A'(4:15-16)  テサロニケにいたときにも、あなたがたはわたしの窮乏を救おうとして、何度も物を送ってくれました(4:16)
    B'(4:17)    贈り物を当てにして言うわけではありません(4:17)   (οὐκ ὅτι)
      C'(4:18-20)      わたしはあらゆるものを受けており、豊かになっています(4:18)   (περισσεύω)
        D'(4:21-23)        主イエス・キリストの恵みが、あなたがたの霊と共にあるように(4:23)
 
   A:支援 B:物品を期待しない C:豊かさ D:共に


聖書の引用は「新共同訳聖書」より