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使徒言行録の修辞構造

テキスト全体での集中構造(コンチェントリック)と交差配列(キアスムス)

テキストの中心は「ペトロ、牢から救い出される」(no. 25, Acts 12:1-24)である。No. 25はヤコブの殉教とペトロの救出を含んだペリコーペである。この構造は殉教と迫害からの救出の両方を示唆していると考えられる。


1-1

1 イエス天に上げられる (1:1-11)
  2 マティアの選出 (1:12-26)
    3 聖霊が降る (2:1-13)
      4 ペトロの説教 (2:14-39)
        5 信者の生活 (2:40-47)
          6 ペトロ、足の不自由な男をいやす (3:1-4:4)
            7 ペトロとヨハネ、議会で取り調べを受ける (4:5-22)
              8 心を一つにする使徒たち (4:23-31)
                9 持ち物を共有する (4:32-37)
                  10 アナニアとサフィラ (5:1-11)
                    11 使徒たちの弁明 (5:12-42)
                      12 ステファノたち七人の選出 (6:1-7)
                        13 ステファノの説教 (6:8-7:60)
                          14 エルサレム教会への迫害 (8:1-3)
                            15 サマリアで福音が告げ知らされる (8:4-25)
                              16 フィリポとエチオピアの高官 (8:26-40)
                                17 サウロの回心 (9:1-22)
                                  18 サウロ、エルサレムで使徒たちと会う (9:23-31)
                                    19 ペトロの奇跡 (9:32-43)
                                      20 コルネリウス、カイサリアで幻を見る (10:1-23)
                                        21 異邦人も聖霊を受ける (10:24-48)
                                          22 ペトロ、エルサレムの教会に報告する (11:1-18)
                                            23 バルナバの派遣 (11:19-24)
                                              24 アンティオキアの教会 (11:25-30)
                                                25 ペトロ、牢から救い出される (12:1-24)
                                              26 バルナバとサウロの出発 (12:25-13:13)
                                            27 アンティオキアで (13:14-49)
                                          28 リストラ イコニオン (13:50-14:28)
                                        29 エルサレムの使徒会議 (15:1-16:5)
                                      30 マケドニア人の幻 (16:6-10)
                                    31 パウロたち、投獄される (16:11-40)
                                  32 テサロニケでの騒動 (17:1-15)
                                33 アテネで (17:16-34)
                              34 コリントで (18:1-23)
                            35 エフェソで ユダヤ人祈祷師たち (18:24-19:20)
                          36 エフェソでの騒動 (19:21-20:2)
                        37 パウロ、若者を生き返らせる (20:3-14)
                      38 エフェソの長官たちに別れを告げる (20:15-38)
                    39 パウロ、エルサレムへ行く (21:1-17)
                  40 パウロ、ヤコブを訪ねる (21:18-26)
                41 パウロ、弁明する (21:27-23:10)
              42 パウロ暗殺の陰謀 (23:11-35)
            43 パウロ、フェリクスの前で弁明する (24:1-26)
          44 パウロ、皇帝に上訴する (24:27-25:12)
        45 アグリッパ王の来訪 (25:13-22)
      46 パウロ、アグリッパ王の前で弁明する (25:23-26:32)
    47 暴風に襲われる (27:1-44)
  48 マルタ島で (28:1-15)
49 パウロ、ローマで宣教する (28:16-31)
前半関係性後半
1 イエス天に上げられる (1:1-11)
イエスは苦難を受けた後、御自分が生きていることを、数多くの証拠をもって使徒たちに示し、四十日にわたって彼らに現れ、神の国について話された。(1:3)
神の国49 パウロ、ローマで宣教する (28:16-31)
全く自由に何の妨げもなく、神の国を宣べ伝え、主イエス・キリストについて教え続けた。 (28:31)
2 マティアの選出 (1:12-26)
ところで、このユダは不正を働いて得た報酬で土地を買ったのですが、その地面にまっさかさまに落ちて、体が真ん中から裂け、はらわたがみな出てしまいました。(1:18)
罪人の罰48 マルタ島で (28:1-15)
この人はきっと人殺しにちがいない。海では助かったが、『正義の女神』はこの人を生かしておかないのだ。(28:4)
3 聖霊が降る (2:1-13)
突然、激しい風が吹いて来るような音が天から聞こえ、彼らが座っていた家中に響いた。(2:2)
激しい風47 暴風に襲われる (27:1-44)
しかし、間もなく「エウラキロン」と呼ばれる暴風が、島の方から吹き降ろして来た。(27:14)
4 ペトロの説教 (2:14-39)
ペトロの説教
説教46 パウロ、アグリッパ王の前で弁明する (25:23-26:32)
パウロのアグリッパへの弁明
5 信者の生活 (2:40-47)
信者の正しい生活
信者の正しさ45 アグリッパ王の来訪 (25:13-22)
告発者たちは立ち上がりましたが、彼について、わたしが予想していたような罪状は何一つ指摘できませんでした。(25:18)
6 ペトロ、足の不自由な男をいやす (3:1-4:4)
聖なる正しい方を拒んで、人殺しの男を赦すように要求したのです。(3:14)
無実の告発44 パウロ、皇帝に上訴する (24:27-25:12)
パウロが出廷すると、エルサレムから下って来たユダヤ人たちが彼を取り囲んで、重い罪状をあれこれ言い立てたが、それを立証することはできなかった。(25:7)
7 ペトロとヨハネ、議会で取り調べを受ける (4:5-22)
ペトロの弁明
弁明43 パウロ、フェリクスの前で弁明する (24:1-26)
パウロのフェリクスへの弁明
8 心を一つにする使徒たち (4:23-31)
地上の王たちはこぞって立ち上がり、指導者たちは団結して、主とそのメシアに逆らう。(4:26)
陰謀42 パウロ暗殺の陰謀 (23:11-35)
夜が明けると、ユダヤ人たちは陰謀をたくらみ、パウロを殺すまでは飲み食いしないという誓いを立てた。(23:12)
9 持ち物を共有する (4:32-37)
使徒たちは、大いなる力をもって主イエスの復活を証しし、皆、人々から非常に好意を持たれていた。(4:33)
復活を証する41 パウロ、弁明する (21:27-23:10)
兄弟たち、わたしは生まれながらのファリサイ派です。死者が復活するという望みを抱いていることで、わたしは裁判にかけられているのです。(23:6)
10 アナニアとサフィラ (5:1-11)
妻も承知のうえで、代金をごまかし、その一部を持って来て使徒たちの足もとに置いた。(5:2)
献金40 パウロ、ヤコブを訪ねる (21:18-26)
この人たちを連れて行って一緒に身を清めてもらい、彼らのために頭をそる費用を出してください。そうすれば、あなたについて聞かされていることが根も葉もなく、あなたは律法を守って正しく生活している、ということがみんなに分かります。(21:24)
11 使徒たちの弁明 (5:12-42)
使徒たちを捕らえて公の牢に入れた。(5:18)
使徒の逮捕39 パウロ、エルサレムへ行く (21:1-17)
エルサレムでユダヤ人は、この帯の持ち主をこのように縛って異邦人の手に引き渡す。(21:11)
12 ステファノたち七人の選出 (6:1-7)
それで、兄弟たち、あなたがたの中から、”霊”と知恵に満ちた評判の良い人を七人選びなさい。彼らにその仕事を任せよう。(6:3)
監督者の選任38 エフェソの長官たちに別れを告げる (20:15-38)
どうか、あなたがた自身と群れ全体とに気を配ってください。聖霊は、神が御子の血によって御自分のものとなさった神の教会の世話をさせるために、あなたがたをこの群れの監督者に任命なさったのです。(20:28)
13 ステファノの説教 (6:8-7:60)
それから、ひざまずいて、「主よ、この罪を彼らに負わせないでください」と大声で叫んだ。ステファノはこう言って、眠りについた。 (7:60)
37 パウロ、若者を生き返らせる (20:3-14)
エウティコという青年が、窓に腰を掛けていたが、パウロの話が長々と続いたので、ひどく眠気を催し、眠りこけて三階から下に落ちてしまった。起こしてみると、もう死んでいた。(20:9)
14 エルサレム教会への迫害 (8:1-3)
その日、エルサレムの教会に対して大迫害が起こり、使徒たちのほかは皆、ユダヤとサマリアの地方に散って行った。(8:1)
イスラエル/アジアに広まる教会36 エフェソでの騒動 (19:21-20:2)
諸君が見聞きしているとおり、あのパウロは『手で造ったものなどは神ではない』と言って、エフェソばかりでなくアジア州のほとんど全地域で、多くの人を説き伏せ、たぶらかしている。(19:26)
15 サマリアで福音が告げ知らされる (8:4-25)
魔術師シモンの回心
魔術の終焉35 エフェソで ユダヤ人祈祷師たち (18:24-19:20)
また、魔術を行っていた多くの者も、その書物を持って来て、皆の前で焼き捨てた。その値段を見積もってみると、銀貨五万枚にもなった。(19:19)
16 フィリポとエチオピアの高官 (8:26-40)
すると、”霊”がフィリポに、「追いかけて、あの馬車と一緒に行け」と言った。(8:29)
宣教命令34 コリントで (18:1-23)
ある夜のこと、主は幻の中でパウロにこう言われた。恐れるな。語り続けよ。黙っているな。(18:9)
17 サウロの回心 (9:1-22)
サウロの回心
回心33 アテネで (17:16-34)
さて、神はこのような無知な時代を、大目に見てくださいましたが、今はどこにいる人でも皆悔い改めるようにと、命じておられます。(17:30)
18 サウロ、エルサレムで使徒たちと会う (9:23-31)
そこで、サウロの弟子たちは、夜の間に彼を連れ出し、篭に乗せて町の城壁づたいにつり降ろした。(9:25)
サウロの逃亡32 テサロニケでの騒動 (17:1-15)
兄弟たちは、直ちに夜のうちにパウロとシラスをベレアへ送り出した。二人はそこへ到着すると、ユダヤ人の会堂に入った。(17:10)
19 ペトロの奇跡 (9:32-43)
ペトロが、「アイネア、イエス・キリストがいやしてくださる。起きなさい。自分で床を整えなさい」と言うと、アイネアはすぐ起き上がった。(9:34)
使徒による奇跡31 パウロたち、投獄される (16:11-40)
彼女がこんなことを幾日も繰り返すので、パウロはたまりかねて振り向き、その霊に言った。「イエス・キリストの名によって命じる。この女から出て行け。」すると即座に、霊が彼女から出て行った。(16:18)
20 コルネリウス、カイサリアで幻を見る (10:1-23)
ある日の午後三時ごろ、コルネリウスは、神の天使が入って来て「コルネリウス」と呼びかけるのを、幻ではっきりと見た。(10:3)
幻による呼びかけ30 マケドニア人の幻 (16:6-10)
その夜、パウロは幻を見た。その中で一人のマケドニア人が立って、「マケドニア州に渡って来て、わたしたちを助けてください」と言ってパウロに願った。(16:9)
21 異邦人も聖霊を受ける (10:24-48)
割礼を受けている信者で、ペトロと一緒に来た人は皆、聖霊の賜物が異邦人の上にも注がれるのを見て、大いに驚いた。(10:45)
異邦人が聖霊を受ける29 エルサレムの使徒会議 (15:1-16:5)
人の心をお見通しになる神は、わたしたちに与えてくださったように異邦人にも聖霊を与えて、彼らをも受け入れられたことを証明なさったのです。(15:8)
22 ペトロ、エルサレムの教会に報告する (11:1-18)
そこで、ペトロは事の次第を順序正しく説明し始めた。(11:4)
異邦人宣教の報告28 リストラ イコニオン (13:50-14:28)
到着するとすぐ教会の人々を集めて、神が自分たちと共にいて行われたすべてのことと、異邦人に信仰の門を開いてくださったことを報告した。(14:27)
23 バルナバの派遣 (11:19-24)
しかし、彼らの中にキプロス島やキレネから来た者がいて、アンティオキアへ行き、ギリシア語を話す人々にも語りかけ、主イエスについて福音を告げ知らせた。(11:20)
異邦人宣教27 アンティオキアで (13:14-49)
神の言葉は、まずあなたがたに語られるはずでした。だがあなたがたはそれを拒み、自分自身を永遠の命を得るに値しない者にしている。見なさい、わたしたちは異邦人の方に行く。(13:46)
24 アンティオキアの教会 (11:25-30)
そして、それを実行し、バルナバとサウロに託して長老たちに届けた。 (11:30)
バルナバとサウロの派遣26 バルナバとサウロの出発 (12:25-13:13)
彼らが主を礼拝し、断食していると、聖霊が告げた。「さあ、バルナバとサウロをわたしのために選び出しなさい。わたしが前もって二人に決めておいた仕事に当たらせるために。」 (13:2)

聖書の引用は「新共同訳聖書」より