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コリントの信徒への手紙二の修辞構造

各ペリコーペの集中構造(コンチェントリック)と交差配列(キアスムス)と並行法(パラレル)

[1]挨拶・苦難と感謝  (2 Cor 1:1-11)
 
  A(1:1-3)  わたしたちの父である神と主イエス・キリストからの恵みと平和が、あなたがたにあるように(1:2)   (ξάρις)
    B(1:4-5)    神は、あらゆる苦難に際してわたしたちを慰めてくださる(1:4)   (παρακαλῶν)
    B'(1:6-7)    わたしたちが悩み苦しむとき、それはあなたがたの慰めと救いになります(1:6)   (παρακλήσεως)
  A'(1:8-11)  多くの人のお陰でわたしたちに与えられた恵みについて、多くの人々がわたしたちのために感謝をささげてくれるようになるのです(1:11)   (ξάρισμα)
 
   A:恵み B:慰め

[2]コリント訪問の計画  (2 Cor 1:12-20)
 
  A(1:12-14)  人間の知恵によってではなく、神から受けた純真と誠実によって(1:12)   (σαρκικῇ)
    B(1:15-16)    そちらを経由してマケドニア州に赴き、マケドニア州から再びそちらに戻って、ユダヤへ送り出してもらおうと考えたのでした(1:16)
  A'(1:17-20)  人間的な考えによる(1:17)   (σάρκα)
 
   A:肉の知恵 B:旅の計画

[3]パウロの不安と安心  (2 Cor 1:21-2:17)
 
  A(1:21-24)  わたしたちとあなたがたとをキリストに固く結び付け(1:21)   (εἰς Ξριστὸν)
    B(2:1-4)    わたしがあなたがたに対してあふれるほど抱いている愛(2:4)   (ἀγάπην)
      C(2:5-7)      その人には、多数の者から受けたあの罰で十分です(2:6)
    B'(2:8-11)    ぜひともその人を愛するようにしてください(2:8)   (ἀγάπην)
  A'(2:12-17)  神の御前でキリストに結ばれて語っています(2:17)   (ἐν Ξριστῷ)
 
   A:キリストの内に B:愛 C:十分な罰

[4]新しい契約の奉仕者  (2 Cor 3:1-18)
 
  A(3:1-4)  墨ではなく生ける神の霊によって(3:3)   (πνεύματι θεοῦ)
    B(3:5-6)    新しい契約に仕える資格(3:6)   (καινς διαθήκης)
      C(3:7-8)      モーセの顔に輝いていたつかのまの栄光(3:7)   (Μωυσέως)
        D(3:9-11)        はるかに優れた栄光(3:10)
      C'(3:12-13)      モーセが自分の顔に覆いを掛けたようなことはしません(3:13)   (Μωυσῆς)
    B'(3:14-16)    古い契約が読まれる(3:14)   (παλαοᾶς διαθήκης)
  A'(3:17-18)  主の霊のおられるところに自由があります(3:17)   (πνεῦμα κυρίου)
 
   A:主の霊 B:新しい契約と古い契約 C:モーセの顔 D:優れた栄光

[5]土の器に納めた宝  (2 Cor 4:1-18)
 
  A(4:1-6)  落胆しません(4:1)   (οὐκ ἐγκακοῦμεν)
    B(4:7)    この並外れて偉大な力が神のものであって、わたしたちから出たものでないことが明らかになるために(4:7)
      C(4:8-11)      わたしたちは生きている間、絶えずイエスのために死にさらされています、死ぬはずのこの身にイエスの命が現れるために(4:11)   (ζωὴ, θάνατον)
      C'(4:12-14)      わたしたちの内には死が働き、あなたがたの内には命が働いていることになります(4:12)   (ζωὴ, θάνατος)
    B'(4:15)    多くの人々が豊かに恵みを受け、感謝の念に満ちて神に栄光を帰すようになるためです(4:15)
  A'(4:16-18)  わたしたちは落胆しません(4:16)   (οὐκ ἐγκακοῦμεν)
 
   A:落胆しない B:神に栄光を帰す C:死と命

[6]信仰に生きる  (2 Cor 5:1-10)
 
  A(5:1)  わたしたちの地上の住みかである幕屋が滅びても(5:1)
    B(5:2-4)    わたしたちは、天から与えられる住みかを上に着たいと切に願って、この地上の幕屋にあって苦しみもだえています(5:2)
      C(5:5)      わたしたちを、このようになるのにふさわしい者としてくださったのは、神です(5:5)
    B'(5:6-8)    そして、体を離れて、主のもとに住むことをむしろ望んでいます。(5:8)
  A'(5:9-10)  めいめい体を住みかとしていたときに行ったことに応じて(5:10)
 
   A:体の滅び B:天に行く C:神が準備された

[7]和解させる任務  (2 Cor 5:11-6:10)
 
  A(5:11-12)  わたしは、あなたがたの良心にもありのままに知られたいと思います(5:11)
    B(5:13-15)    奉仕
      C(5:16-17)      
        D(5:18-21)        和解
      C'(6:1-2)      
    B'(6:3-8a)    奉仕
  A'(6:8b-10)  使徒の描写
 
   A:使徒の描写 B:奉仕 C:今 D:和解

[8]心を開く  (2 Cor 6:11-7:4)
 
  A(6:11-13)  心を開く
    B(6:14-16a)    罪から離れる
    B'(6:16b-18)    罪から離れる
  A'(7:1-4)  心を開く
 
   A:心を開く B:罪から離れる

[9]教会の悔い改めを喜ぶ  (2 Cor 7:5-16)
 
  A(7:5-7)  しかし、気落ちした者を力づけてくださる神は、テトスの到着によってわたしたちを慰めてくださいました(7:6)   (παρακαλῶν)
    B(7:8)    あの手紙によってあなたがたを悲しませた(7:8)   (ἐπιστολῇ)
      C(7:9)      あなたがたが悲しんだのは神の御心に適ったこと(7:9)   (ἐλυπήθητε)
        D(7:10)        神の御心に適った悲しみは、取り消されることのない救いに通じる悔い改めを生じさせ、世の悲しみは死をもたらします(7:10)
      C(7:11)      神の御心に適ったこの悲しみ(7:11)   (λυπηθῆναι)
    B'(7:12)    あなたがたに手紙を送った(7:12)   (ἔγραψα)
  A'(7:13-16)  こういうわけでわたしたちは慰められたのです。この慰めに加えて、テトスの喜ぶさまを見て、わたしたちはいっそう喜びました(7:13)   (παρακεκλήμεθα)
 
   A:慰め B:手紙 C:コリントの人々の悲しみ D:悲しみと悔い改め

[10]自発的な施し  (2 Cor 8:1-24)
 
  A(8:1-6)  わたしたちはテトスに、この慈善の業をあなたがたの間で始めたからには、やり遂げるようにと勧めました(8:6)   (Τίτον)
    B(8:7-9)    主は豊かであったのに、あなたがたのために貧しくなられた(8:9)   (ἐπτώχευσεν)
      C(8:10)      それがあなたがたの益になるからです(8:10)
    B'(8:11-15)    あなたがたの現在のゆとりが彼らの欠乏を補えば (8:14)   (ὑστέρημα)
  A'(8:16-24)  あなたがたに対してわたしたちが抱いているのと同じ熱心を、テトスの心にも抱かせてくださった神に感謝します(8:16)   (Τίτου)
 
   A:テトスの働き B:他者のために貧しくなる C:利益となる

[11]エルサレムの信徒のための献金  (2 Cor 9:1-15)
 
  A(9:1-5)  聖なる者たちへの奉仕(9:1)   (διακονίας)
    B(9:6)    惜しんでわずかしか種を蒔かない者は、刈り入れもわずかで、惜しまず豊かに蒔く人は、刈り入れも豊かなのです(9:6)   (σπείρων)
      C(9:7)      不承不承ではなく、強制されてでもなく(9:7)
        D(9:8)        あらゆる恵みをあなたがたに満ちあふれさせる(9:8)
      C'(9:9)      彼は惜しみなく分け与え(9:9)
    B'(9:10)    種を蒔く人に種を与え、パンを糧としてお与えになる方は、あなたがたに種を与えて、それを増やし、あなたがたの慈しみが結ぶ実を成長させてくださいます(9:10)   (σπείροντι)
  A'(9:11-15)  この奉仕の働きは、聖なる者たちの不足しているものを補うばかりでなく、神に対する多くの感謝を通してますます盛んになる(9:12)   (διακονία)
 
   A:聖なる者たちへの奉仕 B:種まきのたとえ C:惜しみなく与える D:恵みが溢れる

[12]パウロの誇り  (2 Cor 10:1-18)
 
  A(10:1-2)  あなたがたの間で面と向かっては弱腰だが、離れていると強硬な態度に出る、と思われている、このわたしパウロ(10:1)
    B(10:3-8)    わたしがいささか誇りすぎたとしても、恥にはならないでしょう(10:8)   (καυχήσωμαι)
  A'(10:9-11)  わたしのことを、「手紙は重々しく力強いが、実際に会ってみると弱々しい人で、話もつまらない」と言う者たちがいる(10:10)
    B'(10:12-18)    わたしたちは限度を超えては誇らず(10:13)   (καυχησόμεθα)
 
   A:パウロの評判 B:誇り

[13]偽信徒たち  (2 Cor 11:1-15)
 
  A(11:1-4)  ただ、エバが蛇の悪だくみで欺かれたように、あなたがたの思いが汚されて、キリストに対する真心と純潔とからそれてしまうのではないかと心配しています(11:3)
    B(11:5-6)    あの大使徒たちと比べて、わたしは少しも引けは取らないと思う(11:5)
      C(11:7-9)      神の福音を無報酬で告げ知らせた(11:7)
    B'(11:10-11)    このようにわたしが誇るのを、アカイア地方で妨げられることは決してありません(11:10)
  A'(11:12-15)  こういう者たちは偽使徒、ずる賢い働き手であって、キリストの使徒を装っているのです(11:13)
 
   A:悪 B:パウロの誇り C:無報酬で福音を告げる

[14]信徒としてのパウロの労苦  (2 Cor 11:16-33)
 
  A(11:16-21)  わたしがこれから話すことは、主の御心に従ってではなく、愚か者のように誇れると確信して話すのです(11:17)   (καυξώμενος)
    B(11:22-28)    苦労したことはずっと多く、投獄されたこともずっと多く、鞭打たれたことは比較できないほど多く、死ぬような目に遭ったことも度々でした(11:23)
  A'(11:29-30)  誇る必要があるなら、わたしの弱さにかかわる事柄を誇りましょう(11:30)   (καυξᾶσθαι)
    B'(11:31-33)    わたしは、窓から篭で城壁づたいにつり降ろされて、彼の手を逃れたのでした(11:33)
 
   A:誇り B:パウロの苦難

[15]主から示された事  (2 Cor 12:1-10)
 
  A(12:1)  わたしは誇らずにいられません(12:1)   (καυχᾶσθαι)
    B(12:2-4)    彼は楽園にまで引き上げられ、人が口にするのを許されない、言い表しえない言葉を耳にしたのです(12:4)
      C(12:5)      自分自身については、弱さ以外には誇るつもりはありません(12:5)   (ἀαθενείαις)
  A'(12:6)  仮にわたしが誇る気になったとしても、真実を語るのだから、愚か者にはならないでしょう(12:6)   (καυξήσασθαι)
    B'(12:7-9a)    あの啓示された事があまりにもすばらしいからです(12:7)
      C'(12:9b-10)      大いに喜んで自分の弱さを誇りましょう(12:9)   (ἀσθενεία)
 
   A:誇る B:啓示 C:弱さを誇る

[16]コリントの教会に対するパウロの心遣い  (2 Cor 12:11-19)
 
  A(12:11-12)  忍耐強くあなたがたの間で実証しています(12:12)
    B(12:13-14)    わたしが負担をかけなかったことだけではないですか(12:13)   (κατενάρκησα)
      C(12:15)      あなたがたを愛すれば愛するほど、わたしの方はますます愛されなくなるのでしょうか(12:15)
    B'(12:16-18)    わたしが負担をかけなかったとしても、悪賢くて、あなたがたからだまし取ったということになっています(12:16)   (κατεβάρησα)
  A'(12:19)  あなたがたは、わたしたちがあなたがたに対し自己弁護をしているのだと、これまでずっと思ってきたのです(12:19)
 
   A:パウロの証 B:負担をかけない C:愛

[17]結びの言葉  (2 Cor 12:20-13:13)
 
  A(12:20-21)  わたしの方もあなたがたの期待どおりの者ではない、ということにならないだろうか(12:20)
    B(13:1-4)    以前罪を犯した人と、他のすべての人々に、そちらでの二度目の滞在中に前もって言っておいたように、離れている今もあらかじめ言っておきます。今度そちらに行ったら、容赦しません。(13:2)
  A'(13:5-9)  わたしたちが失格者でないことを、あなたがたが知るようにと願っています(13:6)
    B'(13:10-13)    壊すためではなく造り上げるために主がお与えくださった権威によって、厳しい態度をとらなくても済むようにするためです(13:10)
 
   A:失格者 B:厳しい態度


聖書の引用は「新共同訳聖書」より