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ガラテヤの信徒への手紙の修辞構造

各ペリコーペの集中構造(コンチェントリック)と交差配列(キアスムス)と並行法(パラレル)

[1]挨拶  (Gal 1:1-5)
 
  A(1:1-2)  キリストを死者の中から復活させた父である神(1:1)
    B(1:3)    主イエス・キリストの恵みと平和が、あなたがたにあるように(1:3)
  A'(1:4-5)  御自身をわたしたちの罪のために献げてくださった(1:4)
 
   A:死と復活 B:祝福

[2]ほかの福音はない  (Gal 1:6-12)
 
  A(1:6-9)  ある人々があなたがたを惑わし、キリストの福音を覆そうとしているにすぎないのです(1:7)
    B(1:10)    もし、今なお人の気に入ろうとしているなら、わたしはキリストの僕ではありません(1:10)
  A'(1:11-12)  わたしはこの福音を人から受けたのでも教えられたのでもなく、イエス・キリストの啓示によって知らされたのです(1:12)
 
   A:福音 B:キリストの僕

[3]パウロが使徒として選ばれた次第  (Gal 1:13-2:14)
 
  A(1:13-17)  同胞の間では同じ年ごろの多くの者よりもユダヤ教に徹しようとしていました(1:14)   (Ἰουδαισμῷ)
    B(1:18-20)    ケファと知り合いになろうとしてエルサレムに上り、十五日間彼のもとに滞在しました(1:18)   (Κηφᾶν)
      C(1:21-24)      かつて我々を迫害した者が、あの当時滅ぼそうとしていた信仰を、今は福音として告げ知らせている(1:23)   (εὐαγγελίζεται)
        D(2:1-6)        割礼を受けることを強制されませんでした(2:3)
      C'(2:7-10)      彼らは、ペトロには割礼を受けた人々に対する福音が任されたように、わたしには割礼を受けていない人々に対する福音が任されていることを知りました(2:7)   (εὐαγγέλιον)
    B'(2:11-13)    ケファがアンティオキアに来たとき、非難すべきところがあったので、わたしは面と向かって反対しました(2:11)   (Κηφᾶς)
  A'(2:14)  どうして異邦人にユダヤ人のように生活することを強要するのですか(2:14)   (Ἰουδαικῶς)
 
   A:ユダヤ教 B:使徒 C:福音宣教 D:割礼を強制されない

[4]すべての人は信仰によって義とされる  (Gal 2:15-21)
 
  A(2:15-18)  人は律法の実行ではなく、ただイエス・キリストへの信仰によって義とされる(2:16)   (δικαιοῦται)
    B(2:19)    わたしは神に対して生きるために、律法に対しては律法によって死んだのです(2:19)   (ζήσω)
    B'(2:20)    生きているのは、もはやわたしではありません。キリストがわたしの内に生きておられるのです。(2:20)   (ζῶ)
  A'(2:21)  もし、人が律法のお陰で義とされるとすれば、それこそ、キリストの死は無意味になってしまいます(2:21)   (δικαιοσύνη)
 
   A:義とされる B:生きる

[5]律法によるか、信仰によるか  (Gal 3:1-14)
 
  A(3:1)  目の前に、イエス・キリストが十字架につけられた姿ではっきり示されたではないか(3:1)   (Ξριστὸς)
    B(3:2-4)    あなたがたが”霊”を受けたのは、律法を行ったからですか。それとも、福音を聞いて信じたからですか(3:2)   (νόμου)
      C(3:5-7)      信仰によって生きる人々こそ、アブラハムの子であるとわきまえなさい(3:7)   (πίστεως)
      C'(3:8-9)      信仰によって生きる人々は、信仰の人アブラハムと共に祝福されています(3:9)   (πίστεως)
    B'(3:10-12)    律法の実行に頼る者はだれでも、呪われています(3:10)   (νόμου)
  A'(3:13-14)  キリストは、わたしたちのために呪いとなって、わたしたちを律法の呪いから贖い出してくださいました(3:13)   (Ξριστὸσ λ )
 
   A:キリストの十字架 B:律法 C:信仰

[6]アブラハムへの約束  (Gal 3:15-22)
 
  A(3:15)  約束
    B(3:16)    子孫   (σπερμα)
  A'(3:17-18)  約束
    B'(3:19-22)    子孫   (σπερμα)
 
   A:約束 B:子孫

[7]相続人  (Gal 3:23-4:7)
 
  A(3:23-24)  キリスト以前
    B(3:25-29)    キリスト以後
  A'(4:1-3)  キリスト以前
    B'(4:4-7)    キリスト以後
 
   A:キリスト以前 B:キリスト以後

[8]ガラテヤの人々への叱責  (Gal 4:8-18)
 
  A(4:8-9)  なぜ、あの無力で頼りにならない支配する諸霊の下に逆戻りし、もう一度改めて奴隷として仕えようとしているのですか(4:9)
    B(4:10-11)    あなたがたのために苦労したのは、無駄になったのではなかったかと、あなたがたのことが心配です(4:11)
      C(4:12)      あなたがたは、わたしに何一つ不当な仕打ちをしませんでした(4:12)
        D(4:13)        体が弱くなったことがきっかけで、あなたがたに福音を告げ知らせました(4:13)
      C'(4:14)      わたしを神の使いであるかのように、また、キリスト・イエスででもあるかのように、受け入れてくれました(4:14)
    B'(4:15-16)    わたしは、真理を語ったために、あなたがたの敵となったのですか(4:16)
  A'(4:17-18)  自分たちに対して熱心にならせようとして、あなたがたを引き離したいのです(4:17)
 
   A:離反 B:パウロの労苦 C:人々の善意 D:福音宣教

[9]二人の女のたとえ  (Gal 4:19-5:1)
 
  A(4:19-20)  キリストがあなたがたの内に形づくられるまで(4:19)   (Ξριστὸς)
    B(4:21-27)    女奴隷の子は肉によって生まれたのに対し、自由な女から生まれた子は約束によって生まれたのでした(4:23)   (ἐπαγγελίας)
    B'(4:28-31)    あなたがたは、イサクの場合のように、約束の子です(4:28)   (ἐπαγγελίας)
  A'(5:1)  キリストはわたしたちを自由の身にしてくださった(5:1)   (Ξριστὸς)
 
   A:キリスト B:約束の子

[10]キリスト者の自由  (Gal 5:2-14)
 
  A(5:2-6)  割礼を受ける人すべてに、もう一度はっきり言います。そういう人は律法全体を行う義務があるのです。(5:3)   (ὅλον τὸν νόμον)
    B(5:7-10)    いったいだれが邪魔をして真理に従わないようにさせたのですか(5:7)
    B'(5:11-12)    今なお割礼を宣べ伝えているとするならば、今なお迫害を受けているのは、なぜですか(5:11)
  A'(5:13-14)  律法全体は、「隣人を自分のように愛しなさい」という一句によって全うされる(5:14)   (πᾶς νόμος)
 
   A:律法全体 B:邪魔

[11]霊の実と肉の業  (Gal 5:15-26)
 
  A(5:15)  互いにかみ合い、共食いしているのなら、互いに滅ぼされないように注意しなさい(5:15)   (ἀλλήλους)
    B(5:16-18)    しかし、霊に導かれているなら、あなたがたは、律法の下にはいません(5:18)   (πνεύματι)
      C(5:19-21)      肉の業は明らかです(5:19)   (ἔργα)
      C'(5:22-23)      これに対して、霊の結ぶ実は(5:22)   (καρπὸς)
    B'(5:24-25)    霊の導きに従って生きているなら、霊の導きに従ってまた前進しましょう(5:25)   (πνεύματι)
  A'(5:26)  うぬぼれて、互いに挑み合ったり、ねたみ合ったりするのはやめましょう(5:26)   (ἀλλήλοις)
 
   A:互いに争う B:霊の導き C:肉の業と霊の業の対比

[12]信仰に基づいた助け合い  (Gal 6:1-10)
 
  A(6:1)  ”霊”に導かれて生きているあなたがたは、そういう人を柔和な心で正しい道に立ち帰らせなさい(6:1)   (πνευματικοὶ)
    B(6:2)    互いに重荷を担いなさい(6:2)   (βαστάζετε)
      C(6:3-4)      自分に対してだけは誇れるとしても、他人に対しては誇ることができないでしょう(6:4)
    B'(6:5-6)    自分の重荷を担うべきです(6:5)   (βαστάσει)
  A'(6:7-10)  霊に蒔く者は、霊から永遠の命を刈り取ります(6:8)   (πνεύματος)
 
   A:霊 B:重荷 C:誇る

[13]結びの言葉  (Gal 6:11-18)
 
  A(6:11-13)  割礼を受けている者自身、実は律法を守っていませんが、あなたがたの肉について誇りたいために、あなたがたにも割礼を望んでいます。(6:13)
    B(6:14-16)    大切なのは、新しく創造されることです(6:15)
  A'(6:17-18)  わたしは、イエスの焼き印を身に受けているのです(6:17)
 
   A:しるし B:新しい創造


聖書の引用は「新共同訳聖書」より