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マカバイ書一の修辞構造

各ペリコーペの集中構造(コンチェントリック)と交差配列(キアスムス)と並行法(パラレル)

[1]アンティオコスの支配  (1M1:1-64)
 
  A(1:1-24)  異国の侵略
    B(1:25-28)    イスラエルの苦難
      C(1:29-35)      アンティオコスの攻撃
    B'(1:36-40)    イスラエルの苦難
  A'(1:41-64)  異国の侵略
 
   A:異国の侵略 B:イスラエルの苦難 C:アンティオコスの攻撃

[2]マタティアの生涯  (2M2:1-70)
 
  A(2:1-5)  さて、シメオンの子であるヨハネの子で、ヨヤリブの子孫の祭司であったマタティアは当時エルサレムを離れてモデインに住んでいた(2:1)
    B(2:6-14)    マタティアの嘆きの歌
      C(2:15-28)      これを見たマタティアは律法への情熱にかられて立腹し、義憤を覚え、駆け寄りざまその祭壇の前でこの男を切り殺した(2:24)
        D(2:29-38)        安息日の攻撃
      C'(2:38-48)      マタティアとその同志は各地を巡って異教の祭壇を引き倒し(2:45)
    B'(2:49-68)    マタティアの最後の歌
  A'(2:69-70)  こうしてマタティアは息子たちを祝福した後、先祖たちに加えられた(2:69)
 
   A:マタティアの生涯 B:マタティアの言葉 C:マタティアの活動 D:安息日の攻撃

[3]ユダが指導者となる  (1M3:1-4:35)
 
  A(3:1-12)  兵たちは敵の武具をはぎ取り、ユダはアポロニオスの剣を奪った。彼は終生この剣で戦い抜いた。(3:12)
    B(3:13-24)    少人数の手で多勢を打ちのめすこともありうるのだ。天が救おうとされるときには、兵力の多少に何の違いのあるものか。(3:18)
      C(3:25-41)      四万の歩兵と七千の騎兵を与え、王の命令どおりにユダに攻め入らせた(3:39)
        D(3:42-60)        祈りと断食
      C'(4:1-7)      さて、ゴルギアスは歩兵五千とえり抜きの騎兵一千の指揮をとり、夜陰に乗じて陣営を移動させた(4:1)
    B'(4:8-15)    敵の数を恐れるな。敵の勢いにおじけづくな。(4:8)
  A'(4:16-35)  そこでユダは陣営内の戦利品のところに引き返し、多量の金や銀、青や紫に染めた布のほか莫大な富を奪った。(4:23)
 
   A:戦利品 B:ユダの激励 C:敵の軍勢 D:祈りと断食

[4]聖所の清め  (1M4:36-61)
 
  A(4:36-40)  地面に顔を伏せ、合図のラッパを吹き鳴らし、天に向かって叫んだ(4:40)
    B(4:41-51)    そして祭司たちは、律法に従って、自然のままの石を持って来て、以前のものに倣って新しい祭壇を築いた(4:47)
  A'(4:52-56)  民は皆、地に顔を伏せて拝み、彼らを正しく導いてくださった方を天に向かってたたえた(4:55)
    B'(4:57-61)    ユダとその兄弟たち、およびイスラエルの全会衆はこの祭壇奉献の日を、以後毎年同じ時期、キスレウの月の二十五日から八日間、喜びと楽しみをもって祝うことにした。(4:59)
 
   A:天地 B:祭壇

[5]イスラエルの統一  (1M5:1-68)
 
  A(5:1-8)  ユダの勝利
    B(5:9-15)    イスラエルの敗北
      C(5:16-23)      民の帰還
        D(5:24-36)        ユダの勝利
        D'(5:37-44)        ユダの勝利
      C'(5:45-54)      民の帰還
    B'(5:55-62)    イスラエルの敗北
  A'(5:68-68)  ユダの勝利
 
   A:ユダの勝利 B:イスラエルの敗北 C:民の帰還 D:ユダの勝利

[6]アンティオコス・デメトリオスとの戦い  (1M6:1-7:50)
 
  A(6:1-15)  その上で、彼はフィリポスに、自分の王冠、王衣、指輪を手渡し、自分の息子アンティオコスを将来の王とするための指導と養育をゆだねた(6:15)
    B(6:16-17)    幼少のときから養ってきた王子アンティオコスを王として擁立し、彼に「エウパトル」という名称を付けた(6:17)
      C(6:18-27)      ところが敵のある者たちが包囲を破って抜け出すと、イスラエルの中の不敬虔な者の一部が、彼らに合流し(6:21)
        D(6:28-46)        これを聞いて、王は怒った。そして王の友人、軍の指揮官たち、騎兵隊長たち全員を召集した(6:28)
          E(6:47-54)          ユダたちは、王国の力と軍隊の勢力を知って、後退した(6:47)
  A'(6:55-63)  それから王は、急ぎアンティオキアに戻り、フィリポスが町を支配しているのを見て、彼を襲撃し、力ずくで町を奪還した(6:63)
    B'(7:1-4)    第百五十一年に、セレウコスの子デメトリオスがローマを脱出し、わずかな手勢を連れて海辺の一都市に上陸して、その地で王としての統治を開始した(7:1)
      C'(7:5-7)      イスラエル中から、律法に従わない不敬虔な者ども全員が、彼のところへやって来た(7:5)
        D'(7:8-24)        そこで王は、王の友人の一人、ユーフラテス川の向こう側の地の総督で王国の有力者、王に忠実なバキデスを選んだ(7:8)
          E'(7:25-50)          アルキモスはユダの軍が強力であることを目の当たりにし、彼らと戦うのは無理だと悟り、王のもとに戻り、彼らをあしざまに訴えた。(7:25)
 
   A:フィリポス B:即位 C:不敬虔な者たち D:敵の進軍 E:退却

[7]ローマとの友好  (1M8:1-32)
 
  A(8:1-16)  ローマに関する報告
    B(8:17-20)    使節の派遣
  A'(8:21-32)  ローマからの手紙
 
   A:ローマに関する報告 B:使節の派遣

[8]ユダの死とその復讐  (1M9:1-73)
 
  A(9:1-4)  さてデメトリオスは、ニカノルが戦死し、その軍勢が敗れたことを聞き、再度バキデスとアルキモスをユダヤに派遣した(9:1)
    B(9:5-18)    バキデスとの戦い
      C(9:19-22)      ユダの死
        D(9:23-27)        バキデスの支配
          E(9:28-31)          ヨナタンへの言葉
            F(9:32-42)            このようにして兄弟の血に対する復讐が成し遂げられたのである(9:42)
          E'(9:43-49)          ヨナタンの言葉
        D'(9:50-53)        バキデスの支配
      C'(9:54-57)      アルキモスの死
    B'(9:58-68)    バキデスとの戦い
  A'(9:69-73)  バキデスは、自分を唆してここに出撃させたあの律法に従わない者どもに対して激怒し、その多くの者を殺し、自分の国へ帰ろうと決意した(9:69)
 
   A:バキデスの侵略 B:バキデスとの戦い C:死 D:バキデスの支配 E:ヨナタンの言葉 F:兄弟の血に対する復讐

[9]ヨナタンが大祭司となる  (1M10:1-89)
 
  A(10:1-2)  デメトリオス王はこれを聞き、おびただしい軍勢を動員し、彼と戦うために出撃した(10:2)
    B(10:3-14)    またデメトリオスはヨナタンに友好的な内容の書簡を送り、ヨナタンの立場を強力なものにしようとした。(10:3)
      C(10:15-20)      あなたをあなたの民の大祭司に任じ、『王の友人』という名称を与えることにした(10:20)
        D(10:21-47)        デメトリオスの書簡
          E'(10:48-50)          デメトリオスの死
        D'(10:51-54)        アレキサンドロスの書簡
      C'(10:55-66)      王はヨナタンをたたえ、彼を第一級の友人の一人に加え、軍の指揮官および地方長官に任命した。(10:65)
    B'(10:67-73)    アポロニオスの書簡
  A'(10:74-89)  ヨナタンはアポロニオスの言葉を聞くと、憤激して、一万の兵士を選び、エルサレムを出立した。兄弟シモンは、彼を援助するため、これに合流した。(10:74)
 
   A:出陣 B:デメトリオス側からの書簡 C:ヨナタンの即位 D:同盟を求める手紙 E:デメトリオスの死

[10]ヨナタンの地位の確立  (1M11:1-74)
 
  A(11:1-7)  ヨナタンは王と共に、エレウテロスと呼ばれる川まで行き、それからエルサレムへ戻った(11:7)
    B(11:8-18)    プトレマイオスの戴冠
      C(11:19-37)      デメトリオスとの協力
        D(11:38-40)        デメトリオスの撤収
      C'(11:41-53)      デメトリオスとの協力
    B'(11:54-59)    アンティオコスの戴冠
  A'(11:60-74)  ヨナタンはエルサレムに帰還した。(11:74)
 
   A:ヨナタンの帰還 B:戴冠 C:デメトリオスとの協力 D:デメトリオスの撤収

[11]ローマとの友好  (1M12:1-23)
 
  A(12:1-2)  スパルタや他の地にも同じ趣旨の書簡を送った(12:2)
    B(12:3-4)    そこで元老院は、彼らに書簡を渡した(12:4)
  A'(12:5-18)  以下はヨナタンがスパルタ人あてに書いた書簡の写しである(12:5)
    B'(12:19-23)    以下はオニアに送られたスパルタ人の書簡の写しである(12:19)
 
   A:イスラエルからの書簡 B:イスラエルへの書簡

[12]ヨナタンの敗北  (1M12:24-53)
 
  A(12:24-38)  デメトリオスに欺かれるヨナタン
    B'(12:39-45)    トリフォンの策略
  A'(12:46-53)  トリフォンに欺かれるヨナタン
 
   A:欺かれるヨナタン B:トリフォンの策略

[13]ヨナタンの死  (1M13:1-42)
 
  A(13:1-11)  あなたこそ、あなたの兄弟ユダとヨナタンに代わる我々の指導者です(13:8)
    B(13:12-19)    こうしてシモンは子供たちと銀百タラントンを送ったが、トリフォンは前言を翻してヨナタンを釈放しなかった。(13:19)
      C(13:20-24)      ヨナタンの死
    B'(13:25-30)    シモンは人を遣わして、兄弟ヨナタンの遺骨を取って来させ、それを先祖の町モデインに葬った。(13:25)
  A'(13:31-42)  シモンの戴冠
 
   A:シモンの戴冠 B:ヨナタンのためのシモンの行動 C:ヨナタンの死

[14]シモンが指導者となる  (1M13:43-14:15)
 
  A(13:43-50)  そのころ、シモンはゲゼルに向けて陣を敷き、この町を包囲した。そして移動攻城機を作って町を襲い、一つの塔を攻撃し、これを占領した。(13:43)
    B(13:51-53)    第百七十一年の第二の月の二十三日にシモンとその民は、歓喜に満ちてしゅろの枝をかざし、竪琴、シンバル、十二絃を鳴らし、賛美の歌をうたいつつ要塞に入った。イスラエルから大敵が根絶されたからである。(13:51)
  A'(14:1-3)  その指揮官は出撃してデメトリオス軍を打ち破り、デメトリオスを捕らえてアルサケスのもとに連行した。アルサケスは、デメトリオスを監禁した。(14:3)
    B'(14:4-15)    シモンの在世中、全地は平和を楽しんだ。シモンは民のために善きことを求め、その権威と栄光は、日々、民に喜びをもたらした。(14:4)
 
   A:戦争 B:シモンの統治

[15]石碑と感謝  (1M14:16-49)
 
  A(14:16-18)  さきに兄弟ユダやヨナタンと結んでいた友好同盟関係を更新しようと、シモンにあてて銅板に刻んで書簡を送った(14:18)
    B(14:19-24)    書簡の内容
  A'(14:25-26)  人々は銅板に文字を刻み、これを石碑にはめ込んで、シオンの丘に建てた。(14:26)
    B'(14:27-49)    石碑の内容
 
   A:銅版 B:銅版の内容

[16]アンティオコスとトリフォンの戦い  (1M15:1-41)
 
  A(15:1-9)  アンティオコスの書簡
    B(15:10-14)    第百七十四年、アンティオコスは彼の先祖の地に入った。全軍が彼のもとにはせ参じたので、トリフォンのもとにはわずかな兵しか残らなかった。(15:10)
  A'(15:15-24)  ローマの書簡
    B'(15:25-41)    さて、アンティオコス王は、ドルに向けて再び陣を敷き、町に対して間断なく攻撃を仕掛け、攻城機を使い、トリフォンを閉じ込めて出入りを封じた。(15:25)
 
   A:書簡 B:アンティオコスとトリフォンの戦い

[17]シモンの死  (1M16:1-24)
 
  A(16:1-10)  ヨハネが後継者となる
    B(16:11-20)    シモンの死
  A'(16:21-24)  ヨハネが後継者となる
 
   A:ヨハネが後継者となる B:シモンの死


聖書の引用は「新共同訳聖書」より